「口をぶつけて歯が抜けちゃった…ほかの歯で噛めるし、抜けたままでも大丈夫かな」
「抜けた歯の治療はブリッジでイイかな?保険が利いて安いから」
「インプラント?費用が高いんだよね…もっと年を取ったときに考えるよ」
むし歯や歯周病、不慮の事故などが原因となり、30代以下の若い方が歯を失ってしまうことがあります。
歯を失った場合はインプラント、ブリッジ、入れ歯による補綴治療を受けることで失った歯の噛む機能と見た目を回復できます。
今回は「若くして歯を失った方の補綴治療」についてのお話です。
目次
■歯を失ったとき、あなたはどうしますか?
30代以下の若い方が歯を失ったとき、以下のようなご選択をされるケースが多いです。
ケース①何もせず、抜けたままにしておく
歯を失い、補綴治療を受けずに放置する方は意外と多いです。見た目の悪さから、前歯はブリッジなどで補う方が多いのですが、大きくお口を開けなければそれほど目立たない奥歯を失った場合はそのまま放置するケースが見られます。
歯を失ったまま何もせずにいると以下のような悪影響が生じる可能性があるため、あまり良い選択肢とは言えません。
・歯を失って空いたスペースに隣の歯が倒れ込み、全体の歯並びや噛み合わせが乱れる
歯を失ったまま何もせずにいると空いたスペースに隣の歯が倒れ込んでしまい、全体の歯並びや噛み合わせが乱れることがあります。
{歯並びや噛み合わせの乱れがひき起こす悪影響について}
・食べ物をしっかり噛みにくくなる
歯並びや噛み合わせが乱れると、食べ物をしっかり噛みにくくなることがあります。
・歯周病が進行しやすくなる
歯並びや噛み合わせの乱れによって歯根や顎の骨に過剰な負荷・アンバランスな負荷がかかり、歯ぐきや顎の骨がダメージを受けて歯周病が進行しやすくなります(外傷性咬合による非プラーク性歯周疾患の進行)。
・発音に支障が出ることがある
歯並びや噛み合わせが乱れると歯と歯のすき間から空気が漏れたり歯が舌の動きを邪魔してしまい、発音に支障が出ることがあります(特に「サ・タ・ナ・ラ」行の発音に支障が出やすいです)。
・頭痛や肩こりが起きることがある
歯並びや噛み合わせが乱れると全体の歯を使って正しく食べ物を噛めなくなったり、きちんとお口を閉じらなくなる場合があります。正しく噛めない+お口を閉じられないことが原因で顎周りの筋肉や首・肩の筋肉にアンバランスな負荷がかかってしまい、頭痛や肩こりが起きることも。
・姿勢がゆがみやすくなる
歯並びや噛み合わせの乱れによって顎にかかる力がアンバランスになると、顎と連動している首、首と連動している肩・背骨・骨盤など、全身の筋肉や骨格に悪影響が及び、姿勢がゆがみやすくなります。
・肥満や糖尿病など、全身の健康に悪影響が出やすくなる
歯を失った状態を放置していると、失った歯の部分で弾力のあるお肉や繊維質の野菜をしっかり噛みにくくなります。全体の歯を使ってしっかり噛めないことから、歯を失った状態を放置している方はあまり歯を使わずに済むご飯・麺類・パン、お甘いお菓子・プリンやゼリー・ジュースなど、炭水化物(糖質)中心の食生活になりがちです。
炭水化物中心の食生活になることで栄養過多、および、栄養バランスの乱れが起きてしまい、肥満や糖尿病など、全身の健康に悪影響が出やすくなります。
ケース②「保険で安いから」という理由でブリッジ、入れ歯を選択する
歯を失い、「保険で安いから」という理由でブリッジ、入れ歯を選択する方は少なくありません。
ブリッジ、入れ歯は補綴治療であり、歯の噛む機能と見た目を回復することが可能です。しかし、ブリッジ、入れ歯には問題点もあります。ブリッジ、入れ歯にしたことが原因で以下のような悪影響が生じる可能性も。
・残っている歯にダメージを与えてしまうことがある
ブリッジは失った歯の両隣(または片方)の歯を削り、連結した人工歯の被せ物を取り付けます。被せ物の取り付けの際に歯を削るため残っている歯にダメージを与えてしまい、歯の寿命が縮むことがあります。
ブリッジは被せ物と歯の境目部分に溜まった歯垢を歯みがきで落としにくく、境目部分からむし歯や歯周病が進行しやすいデメリットもあります。
部分入れ歯はクラスプという金具を残っている歯にひっかけて使用します。ひっかけて支える構造上、部分入れ歯は食べ物を噛む度に金具をかけた歯が引き倒されてしまい、歯根にダメージを与えやすいです。歯根にダメージが蓄積され、歯がグラグラになってしまうこともあります。
・噛む刺激が足りず、顎の骨が吸収して噛み合わせが乱れることがある
ブリッジ、入れ歯は人工歯(義歯)の部分に歯根がありません。歯根がないため人工歯部分の噛む刺激が足りず顎の骨が吸収して溶けてしまい、噛み合わせが乱れることがあります。
・経年劣化による変形でアンバランスな力がかかり、噛み合わせが乱れることがある
保険のブリッジや入れ歯はレジンというプラスチック樹脂でできています。プラスチック樹脂のため、ブリッジや入れ歯は変形しやすいです(数年に一度のペースで定期的に作り替えが必要になります)。
ブリッジ、入れ歯の経年劣化による変形で歯や顎の骨にアンバランスな力がかかってしまい、噛み合わせが乱れることがあります。
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上記のようにブリッジ、入れ歯には「残っている歯にダメージを与えやすい」デメリットがあります。
残っている歯にダメージを与えず、できるだけ長くご自身の歯を保ち続けるためには「残っている歯に悪影響を与えない」補綴治療を選ぶことが重要です。
次の項では、残っている歯を傷つけず、安定性が高いインプラント治療をご紹介します。
■若い方にこそおすすめしたいインプラント治療
>◎人工歯根によりしっかり噛むことができ、残っている歯を傷つけません
インプラントは中高年世代の治療、と考える方が多いです。しかし、インプラントはけっして中高年世代の方のみの治療法ではありません。むしろ、若い方にこそおすすめしたいのがインプラントです。
◎インプラントのメリット
インプラントは以下のようなたくさんのメリットがあります。
・しっかり噛める
インプラントはフィクスチャーというネジのような形をした人工歯根を直接、顎の骨に埋め入れます。埋め入れたフィクスチャーは生体的現象によって強固に顎の骨と結合するため、安定性が高いです。
治療後はご自身の歯に近い感覚で硬い物もしっかり噛んで食事を楽しめます。
・残っている歯を傷つけない
インプラントは失った歯の箇所にのみ、治療を行います。残っている歯を傷つけません。
・発音の邪魔をしない
インプラントは固定式のため、発音の邪魔をしません。いつもどおりの会話を楽しめます。
・噛む刺激が顎の骨に伝わりやすい
インプラントはお口の中に人工歯根を作ります。人工歯根があるため噛む刺激が顎の骨に伝わりやすく、ブリッジや入れ歯と比べて顎の骨の吸収が起きにくいです。
・お手入れがカンタン
インプラントは固定式のため、毎日の基本的なお手入れはいつもどおりの歯みがき(+歯間清掃)でOK(※)。入れ歯のように取り外して洗う必要がありません。
(※)インプラント、および、お口の健康を保つためには毎日のセルフケアに
加え、歯科医院で定期的にメンテナンスを受ける必要があります。
【歯を失ったときは残っている歯のことを考えて補綴治療を選びましょう】
歯を失ったときに気をつけたいポイントは以下の2つです。
①歯を失った状態を放置しない
(放置すると、歯並びや噛み合わせの乱れをひき起こすことがある)
②残っている歯のこと(歯並びや噛み合わせ、歯の寿命)を考えて補綴治療を選ぶ
歯を失ったときはその歯だけ補えばイイ、と考える方が少なくありません。
失った歯のみをただ補うのではなく、補綴治療を選ぶときは「残っている歯を傷つけないようにする」「全体の歯並びや噛み合わせを乱さないようにする」、この2つを意識することで残っている歯の寿命を延ばしやすくなります。
{失った歯の治療はインプラントをおすすめします}
インプラントは人工歯根によってしっかり噛むことができ、残っている歯を傷つけない治療法です。
ご予算やご希望にもよりますが、失った歯の治療はインプラントをおすすめします。
歯を失ったときは歯並びや噛み合わせ、歯の寿命など、残っている歯のことを考えて補綴治療を選びましょう。